こんにちは。
ハイパーカジュアルゲーム大学のミヤ~ルです。
弊社のハイパーカジュアルゲーム担当ディレクターに、「結局ハイパーカジュアルゲームって何?」という部分について、インタビューを行いました。
今回は、そのインタビューの後半部分「動画広告」について深堀りしていきます。
前回の記事を読んでいない方は、こちらからご覧ください。
それでは、後編を見ていきましょう。
ーそれでは、動画広告についてお聞きします。動画広告を作る際に気をつけているポイントはどこでしょうか?
まず大前提として、開始3秒でルールが分かるような動画になっていないとダメですね。
各SNSのフィードに流れてくる広告というのは、基本的にスワイプで弾いていくもの、見ないものなので、そもそも広告というのは見られないわけです。
ユーザーの半分以上は最初の3秒以内で離脱してしまうので、最初の部分、一目見た時にゲームルールが分かる、なんだったら広告を見たらその人の頭の中ですでにゲームをプレイしている状態にならないとダメですね。
頭の中でプレイしているゲームをもっと遊ぼうとしてDLすると思うので、そういうレベルで脳に素早く届くような動画を考えないとダメだと思っています。
ー開始3秒ということでいうと、ゲーム画面ではなくて字幕をバーンと出すのはありなんですか?
いえ、それはないです。
ゲーム画面は絶対に出します。
そういう感じで作り込まれた動画広告とか、いろいろ字幕が出ている動画がありますが、それはもう収益段階に至った上での広告なので、逆にそういうことを動画広告の中でやってしまうと、今テストしているゲームがウケてDLされたのか、動画広告の演出が面白くてDLしているのかの区別がつかなくなるので、そこはピュアなゲームプレイの動画広告が必要ですね。
最初の3秒で分からせるぞというのを念頭に、そのゲームの楽しい部分を全部最初の山場の所に持ってくるような動画と、わざと失敗するシーンがある動画です。
なぜわざと失敗するのかというと、失敗することで何がダメかというルールが分かるので、そこから逆算してゲームのルールをユーザーに伝えることができるわけです。
ーなるほど。
ですので、失敗の理由がわからないような失敗動画だと、ユーザーがどんなゲームなのかを理解できないので、そこの部分も動画広告を作る上で重要だと思います。
ー動画広告は、1本何秒なんですか?
15秒から30秒ぐらいですね。
とにかく開始3秒が全てです。
サッサッとスワイプされていく中で「ん?」となって、その瞬間にもうユーザーの頭の中にゲーム全部の情報をぶっ込めるかが勝負です。
ー他社の広告も参考にしますか?
そうですね。
ー今までに、これはやられた!というような他社の広告はありましたか?
んー、ゲームメカニクスに対してはありますけど、広告に対してはあまりないです。
ー逆に言うと、3秒間ではそこまで変化がつけられないということですか?
広告を見て驚く時というのは、新しいゲームメカニクスを見て、ゲーム自体に驚くという感じですね。
良い広告というのは、どんな新しいゲームかというのをうまく伝えられています。
ーそのゲームメカニクスについてですが、メカニクスの参考・パクリの線引きはどのように考えていますか?テレビで言うところの、ヤラセと演出みたいな部分です。何をやったらパクリになると考えますか?
カレーで例えると、人参を花びらの形にしましたぐらいでは、パクリ。
同じ材料でもシチューのルーを入れてシチューにすれば、新しい価値の提供ということになります。
先行しているものを模倣、ただキャラだけ変えましたぐらいのレベルだと結局何も変わらないので、ゲームメカニクスを流用するのであれば、そこに対してもっと新しい価値を付け加える必要がありますね。
手法としてヒットしているゲームを分析し、ベースにするのは個人的にはありだと思いますが、そこに今までにない新しい価値を付け加えることが出来ないのであれば、それはただ二番煎じであり、なぞるだけの行為なので作る意味がないです。
今流行っているものをそのままコピーしても結局それはコピーでしかないので、先行しているものは超えられないわけです。
直近だと「Unpacking(アンパッキング)を模倣したアプリ」が問題になりましたが、あれはステージの構成まで丸々コピーしていたので、それは権利的にも触れるでしょうし、元のクリエイターの方に対する敬意も欠いている行為だと思うので、その辺りのバランス感覚も当然必要だと思います。
最近ハイパーカジュアルゲームというモデルを知った方は、パクリパクられの魔境だと思っている方もいるかもしれませんが、実際のところはそれではヒットは生まれません。
ー色を変えました、キャラ変えました程度だと、作ってる側も面白くないんじゃないですか?
まあそうですね。
それは、その人じゃないとできないことではないし、先程のカレーの話でいうなら自分なりのスパイスを何も足してないということですから。
ー今の日本のハイパーカジュアルゲーム業界を見た時に、丸パクリというのはない感じでしょうか?
そうですね…。
あまりない印象ですが、あったとしてもランキングには上がってこないと思います。
ー何のゲームを作れば売れるんですかという部分について教えてください。
今だと、テーマとしてはまず「お金」と「女性、フェミニン」ですかね。
この辺りが強いというのはよく言われていますね。
Nail stackという爪のゲームなどがウケやすいテーマとしてあります。
それとは別に僕の個人的な考えなんですが、「自分だけのものを作れるような感じのゲーム」の要素が入っているもの、最近で言えば単純に数字を増やす以外に、更にそこに対して何らかのプレイヤー自身のカスタマイズみたいなものを乗せられるようなゲームが結構ウケているのかなと思っています。
例えば、Coffee stackというゲームがあるんですけど、あれはそれまでによくあった、前方にアイテムを集めていくタイプのゲームだったんですけど、そこにプラスして集めたアイテムに対してデコレーションみたいなものをプレーヤのテクニックに応じて変化付けられたりします。
プレイヤー自身のテクニックによって、そのキャラクターに対してそのプレイの中でしか出ない結果の見た目みたいなものを作れるゲームが強いと思いますね。
ーその完成したアイテムは他のプレイヤーも見ることができるんですか?
いえ、あくまで自分のプレイの結果として出力されるものが、もう少し多様性が出てきたという感じです。
他の人と比較するということではないですね。
今までも、ただ単にモノをいっぱい集めましただけで終わっていたのが、「どう集めるか?」「何を作るか」ではなく「どう作るか?」というように、自分のゲームのテクニックがどのように反映されるかという見せ方が面白くなってきているという感じですかね。
ーなるほど、それが個人的には今後来ると考えているわけですね。
はい、ここに対して更にもう一つプラスアルファを乗せられると、次のヒットに繋がりそうですね。
なんなら、今もう来ていますね。
ーそれなら、すぐに開発に入らないとですね。
そうですね。
ーインタビューを受けている場合ではないと。
はい(笑)。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
担当ディレクターのインタビュー前編・後編を通して、ハイパーカジュアルゲームに対する理解は深まったでしょうか。
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